故人への最後の贈り物として棺に納める副葬品ですが、その考え方や実際に納める品物は、故人の信仰していた宗教によって異なる場合があります。日本の多くの葬儀で行われる副葬品という習慣は、主に仏教の影響が大きいとされていますが、他の宗教にも独自の考え方や慣習が見られます。仏式の場合、副葬品は故人があの世へ旅立つ際に持っていくもの、あるいは道中困らないようにとの願いを込めて納められます。故人が愛用していたものや好きだったものを中心に選びますが、火葬に影響がない燃えやすいものに限られます。故人の愛用品や手紙、写真、少量のお菓子などが一般的です。これは、仏教の輪廻転生の考え方とも関連し、故人が新たな旅路につくための準備という意味合いを持ちます。神式では、仏式ほど明確な副葬品の習慣がない場合もありますが、故人が生前大切にしていたもの、特に身を清めるための品物などを納めることがあるようです。故人が神様の元へ還るという考え方に基づき、死後の世界で必要とされるものが選ばれることがあります。ただし、これも地域や家によって慣習が異なる場合があります。キリスト教式では、副葬品という考え方は仏式や神式ほど一般的ではありません。キリスト教では、人は死後神様のもとへ召されると考えられており、現世の品物を携えていくという発想があまりないためです。しかし、故人が愛用していた聖書やロザリオ、小さな花などを納めることはあります。これは、故人への敬意や愛情を示すという意味合いが強いでしょう。このように、副葬品は宗教によって考え方や選び方が異なります。故人の信仰を尊重し、それに沿った副葬品を選ぶことが、適切な弔いとなります。もし故人の宗教が不明な場合や、どのような品物を選べば良いか迷う場合は、葬儀社の担当者に相談し、アドバイスを受けることが大切です。
副葬品宗教による違いと選び方