通夜における喪主挨拶の文例とポイント
お通夜は、親しい人々が故人様と最後の夜を過ごし、別れを惜しむための時間です。その締めくくりに行う喪主の挨拶は、葬儀・告別式の挨拶とは少し役割が異なります。通夜の挨拶の主な目的は、第一に、急な知らせにもかかわらず駆けつけてくださった弔問客への心からの感謝を伝えること。第二に、故人が家族に見守られながら安らかに旅立ったことを報告し、弔問客を安心させること。そして第三に、翌日に執り行われる葬儀・告別式の案内をすることです。そのため、挨拶は比較的短く、簡潔にまとめるのが一般的です。時候の挨拶などは一切不要で、すぐに本題に入ります。例えば、「本日はご多忙のところ、また足元の悪い中、亡き父〇〇のためにお集まりいただき、誠にありがとうございます。皆様にこうして温かく見守られ、父もさぞ喜んでいることと存じます。生前中は、ひとかたならぬご厚情を賜り、心より御礼申し上げます。なお、明日の葬儀・告別式は、午前〇時より、この〇〇斎場にて執り行う予定でございます。何卒よろしくお願い申し上げます」といった流れが基本となります。そして、この後に「ささやかではございますが、別室にお食事の席をご用意いたしました。故人の思い出話などを伺いながら、ごゆっくりお過ごしいただければと存じます」と、通夜振る舞いへの案内を加えます。この案内は、弔問客への感謝を示す大切な部分ですので、忘れずに伝えましょう。通夜の挨拶は、長々と話す必要はありません。感謝の気持ちと翌日の案内という要点を、心を込めて伝えることが何よりも大切です。万が一言葉に詰まってしまったら、「本日は誠にありがとうございました」と深く一礼するだけでも、その思いは十分に伝わるはずです。