平服を指定された際の服装はどうする
ご遺族からお葬式の案内状などで「平服でお越しください」と伝えられた場合、その言葉の真意をどう解釈すればよいか、迷ってしまう方は多いものです。「平服」という言葉から、普段着のようなカジュアルな服装を連想しがちですが、それは大きな誤解です。葬儀における「平服」とは、「略喪服」を指すのが一般的です。これは、故人が生前、堅苦しいことを好まなかったり、近親者のみの小規模な家族葬であるため、参列者に喪服を用意する負担をかけたくない、といったご遺族の温かい配慮からくる言葉なのです。したがって、この言葉を文字通りに受け取り、ジーンズやTシャツなどで参列することは、かえってご遺族の思いを無にすることになりかねません。男性の場合は、光沢のないダークスーツ、具体的には黒、濃紺、チャコールグレーなどの無地のスーツを選びます。ワイシャツは白無地、ネクタイは光沢のない黒無地を合わせます。女性の場合も同様に、黒や濃紺、濃いグレーなどの地味な色のワンピースやアンサンブル、スーツが適しています。肌の露出は控え、デザインもシンプルなものを選びましょう。もし判断に迷った場合は、準喪服を着用していくのが最も無難です。準喪服で参列して失礼にあたることは決してありません。逆に、カジュアルすぎる服装で浮いてしまう方が問題です。「平服で」という案内に困惑しても、ご遺族に直接問い合わせるのは、かえって気を遣わせてしまうため避けるのがマナーです。近年増えている「お別れの会」などでは、故人の好きだった色を取り入れるなど、少し自由度が高まる場合もありますが、葬儀・告別式での「平服」は、あくまでも略喪服と心得て、敬意のこもった装いを心がけることが何よりも大切なのです。