葬儀の日程を決める上で、最も強く意識されるのは友引ですが、実はそれ以外にも慣習的に、あるいは実務的に避けられることがある日が存在します。その代表的なものが、「正月三が日(一月一日〜三日)」、地域によっては松の内(一月七日頃まで)です。これは迷信や縁起とは異なり、純粋に社会機能上の理由が大きいです。多くの火葬場や市役所などの関連機関が年末年始の長期休暇に入るため、火葬の予約が取れないだけでなく、死亡届の提出や火葬許可証の発行といった行政手続きが滞ってしまうのです。また、新年を祝う日本全体の慶賀ムードの中で弔事を行うことは、周囲への配慮から避けたいという心情も働きます。そのため、この期間にご逝去された場合、葬儀は松の内が明ける一月七日以降にずらして行われるのが一般的です。六曜の中で友引以外に気にされることがあるのは、「三隣亡(さんりんぼう)」です。この日は「この日に建築事を行うと、火災を起こし、近隣三軒まで滅ぼす」という建築業界の強い禁忌日ですが、その凶事のイメージから葬儀も避けた方が良いと考える方が一部にいらっしゃいます。しかし、友引ほどの強いタブーではなく、火葬場も通常通り稼働しているため、基本的には気にする必要はありません。また、慶事のイメージが強い「大安」も、弔事にはふさわしくないと考える方がいる一方で、「仏滅」は「物事が滅びて新たに始まる」と解釈し、故人が新たな世界へ旅立つのに適していると考える人もいて、一概に吉凶は定まっていません。これら六曜以上に実務的な問題となるのが、大型連休や祝祭日です。友引でなくても、役所が閉庁している土日祝日は火葬許可証の即日発行が難しい場合があり、葬儀の日程に影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。