葬儀・告別式、そして火葬という一連の儀式を滞りなく終え、親族や特に親しかった方々をおもてなしする会食の席が「精進落とし」です。この席での喪主の挨拶は、通夜や告別式での厳粛な挨拶とは少し趣が異なります。その主な目的は、まず、葬儀が無事に終了したことへの安堵と、手伝ってくださった方々への感謝を伝えることです。そして、これまでの緊張を解き、故人様の思い出を語り合いながらゆっくりと食事をしていただくための、和やかな雰囲気作りへのいざないでもあります。挨拶は、会食の冒頭と結び(お開き)の二回行うのが一般的です。冒頭の挨拶では、「本日は、亡き父〇〇のため、最後までお見送りいただき、誠にありがとうございました。皆様のお力添えのおかげをもちまして、滞りなく葬儀を執り行うことができました。心より厚く御礼申し上げます」と、まずは感謝の言葉を述べます。続けて、「ささやかではございますが、皆様への感謝の印として、お食事の席をご用意いたしました。故人の思い出話などを伺いながら、おくつろぎいただければ幸いです」と、会食の趣旨を伝えます。この後、「献杯」に移るのが通例です。献杯の音頭は、喪主自身が行うこともありますが、親族の代表者や故人と特に親しかった友人などにあらかじめ依頼しておくのが一般的です。喪主が献杯の音頭を取る場合は、「それでは、皆様、グラスをお持ちください。故人を偲び、献杯をしたいと存じます。献杯」と簡潔に述べます。会食が終わり、お開きにする際の結びの挨拶では、「皆様、本日は長時間にわたり、誠にありがとうございました。まだまだ話は尽きませんが、このあたりで一度お開きとさせていただきたく存じます。今後とも、残された私ども家族に変わらぬご厚情を賜りますようお願い申し上げ、ご挨拶とさせていただきます」と、改めて感謝を述べ、会を締めくくります。精進落としの挨拶は、故人を失った悲しみの中にも、支えてくれた人々への感謝と労いの気持ちを込める、大切な区切りの言葉なのです。