服装だけではない見落としがちな小物マナー
葬儀に参列する際、スーツやワンピースといった服装には細心の注意を払う一方で、意外と見落とされがちなのが小物に関するマナーです。しかし、これらの小物こそが、その人の心遣いや品格を如実に表すことがあります。厳粛な場で恥ずかしい思いをしないためにも、服装と合わせて小物のマナーもしっかりと確認しておきましょう。まず、仏式の葬儀において欠かせないのが数珠です。数珠は個人の持ち物であり、貸し借りはしません。移動中は房を下にして左手で持ち、焼香の際は宗派の作法に従います。次に、香典を持参する際に使用する袱紗です。香典袋をそのまま取り出すのは失礼にあたりますので、紫や紺といった寒色系の袱紗を用います。包み方は、弔事では袱紗を広げた中央よりやや右に香典袋を置き、右、下、上、左の順でたたみます(左開き)。ハンカチは涙を拭うだけでなく、手を清める際にも使うため、白か黒の無地の綿や麻素材のものを用意しましょう。女性が持つバッグは、光沢のない黒の布製が正式です。殺生を連想させる革製品は避けます。また、会場では携帯電話やスマートフォンの電源は必ず切っておくか、マナーモードではなくサイレントモードに設定し、バイブレーションの音にも注意が必要です。葬儀の最中に着信音が鳴り響くのは、最も避けたいマナー違反の一つです。受付で記帳する際に備え、黒インクの万年筆や筆ペンを準備しておくと、慌てずに済みスマートです。ボールペンでも構いませんが、筆記用具にも気を配れるとより丁寧な印象を与えます。これらの細やかな配慮が、故人を敬い、儀式を尊重する姿勢を示すための大切な要素となるのです。