長年、葬儀業界に身を置く者として、直葬を希望されるお客様から費用に関する様々なご相談を受けます。今回は、お客様が後悔しないために、プロの視点から直葬プランを選ぶ際の注意点についてお話ししたいと思います。まず、インターネット広告などで見かける「10万円台」といった格安プランですが、この金額だけで全てが済むと考えるのは早計です。これらのプランは、必要最低限のサービスをパッケージ化したものであり、多くの場合、火葬料金や安置日数の超過分、ご遺体の搬送距離などによって追加料金が発生する仕組みになっています。特に注意していただきたいのが「火葬料金は別途」という表記です。火葬料金は、公営か民営か、またお住まいの地域か否かで大きく異なり、数万円の差が出ます。この料金が含まれていないことを知らずに契約し、後から高額な請求に驚かれるケースは後を絶ちません。次に、ご遺体の「安置」に関する費用です。格安プランでは安置日数が1日か2日に設定されていることが多いですが、都市部では火葬場の予約が数日先になることも珍しくありません。その場合、超過した日数分の安置料と、ご遺体保全のためのドライアイス代が追加で必要になります。この費用が意外と高額になることもあるため、安置に関する規定は必ず確認してください。また、「お布施」についてもよくご質問を受けます。直葬は宗教儀式を行わないのが基本ですが、火葬炉の前で少しだけでも読経をしてほしいと希望される方もいらっしゃいます。その場合、お坊さんへのお礼(お布施)が別途必要になります。これも葬儀社を通じて手配可能な場合が多いので、ご希望があれば事前にご相談ください。費用を抑えることは大切ですが、安さだけに目を奪われず、総額でいくらかかるのか、どこまでがサービスに含まれるのかを冷静に見極めることが、満足のいくお見送りに繋がります。