葬儀業界で30年のキャリアを持つベテランプランナーの佐藤さんに、仕事の変化と本質について話を伺いました。「私がこの業界に入った1990年代初頭は、葬儀といえば自宅や寺院で、地域の人が集まって盛大に行うのが当たり前でした。しかし、今は家族葬や1日葬といった小規模なものが主流になり、プランナーに求められる役割も大きく変わりました」と佐藤さんは語り始めます。かつては設営や進行といった「作業」が中心でしたが、現在は遺族の心に寄り添う「コンサルティング」の能力が重視されているそうです。佐藤さんが1番大切にしているのは、初対面のお客様との距離感だと言います。「悲しみの深さは1人ひとり違います。土足で心に踏み込むのではなく、一歩引いて、相手が必要としている言葉を待つ。沈黙もまた、大切なプランニングの1つなのです」という言葉に、長年の経験が滲み出ています。また、最近のIT化についても興味深い意見を聞かせてくれました。「動画の上映やVRでの内覧など、便利な道具は増えました。しかし、最後は人の手、人の声です。祭壇の花1輪の向きに、どれだけの想いを込められるか。そこだけはAIには代えられません」と断言します。若手プランナーへのメッセージを求めると、「死を恐れず、しかし慣れないこと」という答えが返ってきました。毎日繰り返される葬儀であっても、遺族にとっては一生に一度の出来事。その重みを常に新鮮な気持ちで受け止めることが、プロとしての最低限の倫理だという教えです。インタビュー中、佐藤さんの手元には、使い込まれた1冊のメモ帳がありました。そこには過去に担当したすべてのお客様の名前と、少しのエピソードが記されているそうです。「お墓参りの際に思い出していただけるような、そんなプランナーでありたいですね」と微笑む佐藤さんの姿に、真のプロフェッショナリズムを感じました。葬儀プランナーという仕事は、時代とともに姿を変えながらも、人と人を結ぶという根源的な営みを守り続けているのです。
ベテラン葬儀プランナーへのインタビュー